2024年3月1日付けで、20歳になった。我らが日本国には国民年金という仕組みがあり、20歳以上60歳未満の学生・農林漁業者・自営業者・無職の国民など、国民年金第1号被保険者は国民年金への加入が義務付けられている。ちなみに月額16,520円、年額198,240円である。

とはいえ、国もこれを学生に毎月毎月払わせるのはどうなのかと思っている (というか、思った人が過去にいたのだろうが) らしく、学生納付特例という制度が存在する。国民年金はその制度へのフリーライドができないように設計されていて、毎月の納付を怠っていると種々の保険の受給資格を失うことがある。学生納付特例という制度は、簡単に言うと、「まあ未納でも学生なんだから許してやろうという」制度である。

さて、当たり前だが、制度があるからといって勝手に国がその手続をやってくれるほど世間は甘くはない。当然申請は各個人で行う必要がある。しかし、マイナンバーカードがあればオンラインで申請ができるという。当然役所に行く気はないのでオンラインで申請することにした。

マイナポータルにマイナンバーカードを用いてログインした後に年金の項目から申請ができる。申請自体は非常に単純で、というかマイナンバーカードを読み込めばほとんどの情報が自動的に入力されるのでほとんど必要ない。自分は自分の名前のフリガナと現在の大学への在籍期間しか入力しなかった。

そして最後に学生証または通学証明書の画像をアップロードすれば完了だという。ここまでわずか5分。気分としては総務省とデジ庁の足を舐める気持ちなのだが、ここからが少し面倒だった。

というのも、アップロードする画像には制約があり、ファイルサイズは3MBまで。ファイルタイプは.jpg.pdfのみであった。…まあなんということのない制約だ。いたって普通。特筆すべきこともない。普通に学生証を机の上においてiPhone標準のカメラアプリで撮影。画像を選択してアップロード。これですべてのフォームへの入力が終わったので確認しようとしたが…

なんとファイルサイズが大きすぎると言われてしまった。「そんなに大きかったか?」と思い確認してみると解像度は3383x2438、ファイルサイズは4.8MB。ファイルサイズの制限は余裕でオーバーしている。

と、ここで困ってしまった。普通にリサイズすればいい話なのだが、アイビスペイントだとか、そういう画像編集アプリはあいにく入れていない…。が、どうやらショートカットアプリで作成できるショートカットの中に画像のリサイズをする機能があるらしい。そうと分かれば早速ショートカットを作成。3383x2438の画像は1920x1384まで縮小され、ファイルサイズは807KBに減少した。いったいなんだったんださっきの4.8MBは。

無事、ファイルサイズの制約を突破したのであとはマイナポータルに画像をアップロードし確認…

またもや弾かれた。

マイナポータル曰く、ファイルタイプが違うとのことだ。はて、不思議な話だ。自分はiPhoneで撮影する画像をjpg形式にするように設定しているし、ファイルサイズが小さい方の画像をアップロードしたことは確認した。と、ここで気づいた。アップロードした画像は確かにjpg形式ではあるのだが、拡張子が .jpg ではなく .jpeg なのだ。iPhoneは確かにjpg形式の写真を .jpeg 拡張子で保存してくる。

これは先程よりも厄介な問題だ。というのも、iPhoneは標準のファイルアプリから拡張子を変更することができない。 .jpg.jpeg には互換性があるので、一文字 e を消すだけですべての制約を満たすというのにもかかわらず、拡張子を編集できない。有料のファイラーを使っている人ならファイラーの機能から拡張子を編集できたりするのだが、あいにく自分はそういうファイラーを持ち合わせていなかった。ああ!自分の目の前にあるパソコンならば即座に拡張子を編集しファイルアップロードまで終わらせることができるのに!

結局、jpg形式での学生証のアップロードは諦めて、pdf形式で学生証をアップロードすることにした。iPhoneのショートカットとはプログラミング言語におけるメソッドチェーン、数学における合成関数のようなもので、最後に評価された値を次のメソッド、関数の引数として使うことができる。ので、先程作ったショートカットで最後に評価された値、すなわちリサイズ後の画像をPDF形式に変換し、ファイルに保存するというショートカットを作った。

そして、吐き出されたPDFファイルをマイナポータルにアップロードする。

さすがに通る。

と、たかだか学生証の写真をアップロードしたかっただけなのに、画像をリサイズしたり拡張子を変更したりと種々の面倒事があった。とはいえ、かかった時間としては30分未満で、役所に行って書類を書いて待ち番号を発券して…と考えるとそこまでの労力ではない。 .jpeg ではなくて .jpg ファイルのみを受け付けるマイナポータルが悪いかと言われると別にそんなこともなく、どちらかというと拡張子を変える程度のことに外部アプリを使う必要のあるiPhoneの標準ファイラのほうが問題に思える。あとiPhone SE 2のカメラでそんな高解像度いらないよという気持ちにもなる。

…というのが、今日の午後6時頃の話である。
さて、マイナポータルを使ったことのある人ならツッコみたくてウズウズしている頃かもしれないので、最後にPCでマイナポータルを使う方法について述べておく。ICカードリーダーが搭載/外付けされていて、そのカードリーダーがNFC Type-Bに対応しているならばスマートフォン同様マイナンバーカードをカードリーダーにかざすことでログインが可能になる。もっとも、Linuxなどのカードリーダーのドライバが提供されていない可能性のあるOSならどうかは知らないが。

自分はカードリーダーを持っていなかったので渋々スマートフォンで手続きを終わらせたのだが、手続きを終わらせたあとにマイナポータルをPCで開いてみると「スマートフォンでQRコードを読み取ってログイン」なる機能があることに気づいた。

ああなんということか、マイナポータルのログインは思っていた数倍モダンなもので―本当に公的機関にあるまじきレベル(褒めている)でモダンだと思うが―手元にNFC Type-Bに対応したスマートフォンとマイナンバーカードがあるだけでPCからもマイナポータルが利用可能であるという。

じゃあ今までの苦労は何だったんだという気持ちになったが、自分の他にそのような後悔を味わってほしくないと思って今この記事を書いている。もっとも、そういう人間ならば最初にPCでログインを試行してみると思うが、自分は怠惰なのでそれを怠った。

もう話したいことはすべて話し終わったので話はずれるが、マイナポータルでは思った以上に自分に関する様々な情報を確認することができる。保険証をマイナンバーカードに紐づけていれば、保険証の券面に書かれている情報は確認できるし、それ以上の情報も提供してくれる。必要であればその情報をPDF出力することもできる。さらに住民税の情報や地域自治体のマイナポータルを用いる申請も検索することができる。もしあなたがマイナポイント欲しさに一度だけしかマイナポータルを開いたことがなかったとしたら、一度マイナポータルで何ができるかを試しても損はしないだろう。というか、私からはそう勧めておく。